PIGS問題とユーロの行方

2010年になってから為替相場を一番騒がせているのがポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペインの4カ国の債務不履行問題、いわゆるPIGS問題です。

元々「ユーロ体制は危ない」ということは金融危機勃発後からずっと言われてきたことです。ただ、2009年に騒がれることはほとんどなく、ユーロは半年間に渡って買われ続けていました。特にユーロドルはかなり順調に上昇していました。


ところが2009年12月にこの流れも一服、そして2010年1月にギリシャの財政赤字粉飾問題が勃発しました。それまで「ギリシャの財政赤字は「GDP比で3%そこそこ」と発表してきたのが、実は「GDP比で13%」ということが発覚したのです。これを受けてユーロ相場は一気に下落トレンドに転換していています。


「日本の財政赤字はもっとひどいのに、なぜ円が買われるのか?」という疑問が湧くと思いますので、何が問題なのかをまとめておきましょう。


ユーロは複数国の共通通貨なので、ドルや円と違い各国の中央銀行が自由にマネーを刷ることができません。そしてユーロ加盟国に対しては「財政赤字をGDP比で3%以内に収める」という条約が課せられています。


しかし、今回のように不景気になると、各国政府は支出を拡大して景気対策に入らざるを得ません。そうなると、どうあがいても財政赤字は膨らんでしまいます。実際「財政赤字をGDP比で3%以内に収める」という条約をしっかり守れている国はほとんどないようです。


さらにギリシャの場合、財政赤字の70%ほどが海外からの借入れになっています。海外からといってもそのほとんどはユーロ加盟国なので、ユーロ建ての債券です。しかし、ギリシャの中央銀行は自由にユーロを刷れないため、自国内にあるユーロだけでは債務超過に陥ってしまう可能性が十分にあります。これがユーロに対する信用を失墜させている一番の問題です。ギリシャの国家デフォルトは十分にあり得るのです。


今回の事態で明らかなのは、ユーロに関する様々なルールは加盟国が一斉に不景気になった時に機能しなくなるということです。PIGSの4カ国以外にもラトビア、リトアニア、エストニアのバルト3国などに対する懸念が根強く残っています。「ユーロ解体か?それとも加盟国の協調により危機を脱するのか?」2010年はユーロ問題から目が離せません。