管理通貨制度

20世紀になって第一次世界大戦が勃発すると、莫大な軍費の対外支払いが各国の財政を圧迫します。当時は金本位制が主流だったため、各国は中央政府に金を集中させざるを得なくなりました。その過程で金の輸出が禁止され、兌換紙幣も停止されたため、金本位制は実質的に崩れ去りました。このとき金本位制の代わりに導入されたのが管理通貨制度です。

管理通貨制度は政策目的に応じて通貨の発行量や総額を自由に調整できる制度です。イギリスの経済学者ケインズが提唱した制度であると言われています。中央銀行が通貨の発行量や総額をコントロールしている今現在の為替制度も管理通貨制度に当たります。


管理通貨制度のメリットは、景気や物価の変動に応じて通貨の発行量や総額を自由に調整できる点です。通貨の発行量が制限される金本位制と比べると、より景気や物価の変動に対応しやすい制度であると言えます。


一方で、通貨を発行する中央銀行の独立性や行政との関係には様々な問題点があります。基本的に各国の中央銀行は民間機関としての位置づけになっており、行政からは独立しています。そのため、中央銀行と行政の政策基準が違う方向に向かうと、極度の景気悪化につながる恐れがあります。典型的な例が第一次世界大戦後のドイツです。中央銀行が通貨を増刷し続けた結果、パン一枚1兆マルクという20世紀最大規模のハイパーインフレが発生しました。日銀が政府の反対を押し切り、2000年に実施したゼロ金利政策も管理通貨制度の問題点を浮き彫りにしました。結果として一時は深刻なデフレスパイラルに陥り、それまで以上に景気が悪化してしまいました。