ニクソンショック

ブレトンウッズ体制により安定を取り戻した世界経済、しかしその安定も長くは続きませんでした。

1960年代後半になると、アメリカはベトナム戦争の戦費や国内の完全雇用維持のために莫大な財政支出を決行し、財政赤字を膨らませていきます。いわゆる双子の赤字の基盤ができたのがこの頃です。当時は「金1オンス=35ドル」という金本位制が採用されていましたが、財政支出が極度に拡大したため、ドルと交換する金の数量が足りなくなり、結果としてインフレーションを導いてしまいます。


アメリカのこうした政策は世界中に非難されました。特に第一次世界大戦後にハイパーインフレを経験したドイツ、第二次世界大戦後にハイパーインフレを経験した日本などの国にとって、インフレーションは目の敵だったため、インフレ抑制に全力を尽くします。こうした国際情勢の動きもあり、アメリカは政策の改善に追われることとなります。


本来、財政赤字によるインフレーションを解決するためには、財政赤字を削減するのが理にかなった方法です。ひとまずアメリカはベトナムから撤退し、ベトナム戦争終結によって財政赤字の縮小を狙います。しかし、国内の完全雇用は経済対策の究極目標だったため、止めようとはしませんでした。「このままでは財政赤字は縮小しない」ということで、アメリカは「自国の通貨を安くする」という思いもよらない手段に出ることになります。そして1971年8月15日、アメリカのニクソン政権は金とドルの固定レート交換停止を発表、これにより約30年間に渡って続いたブレトンウッズ体制は終結しました。